行きずりの恋（なにわえの・・・）

熱い恋の歌です。

難波江の芦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき



ここから先は、良い子は読まないでね！(笑)

難波の入り江にある芦の刈り根の一節のように短い一夜を、
あなたと過ごしたばかりに、これから先私は、澪標(みおつくし)のように、
身を尽くして、あなたのことをずっと恋い焦がれなければならないのでしょうか？



作者は皇嘉門院別当(こうかもんいんべっとう・生没年不詳)
12世紀、850年前位の人というだけで、よく分かっていませんが、宮廷女官でした。
崇徳天皇の皇后、皇嘉門院藤原聖子(こうかもんいんふじわらのせいし)に仕えました。
別当とは、家政を司る役職の名前です。


「刈り根」と「仮寝」
「一節(ひとよ)」と「一夜(ひとよ)」
「澪標（みおつくし）」と「身を尽くし」
と、二重の意味を持たせた言葉が多くて、非常に技巧的かつ色っぽい歌です。

つまりは、旅先で男性と結ばれてしまったのです。
そんな一晩だけの出来事なのに、忘れることが出来ないでいます。
あーもぉ、この先ずっと、あのお方のことを思い続けていくのでしょうか？
と、自分に問うています。

辞書によると「澪標」とは・・・、
浅い湖や遠浅の海岸の水底に水の流れによってできる溝が「澪」で、
河川の流れ込む所にできやすく、小型船が航行できる水路となる。
そこに杭を点々と立てて、船が往来するときの目印にするモノのこと。

その、点々と続く澪標のように、先々までずーっと彼の記憶に縛られていく？
ほほぉ、ずいぶんと惚れ込んだものです(笑)


ところが、この歌は実体験ではなく創作なのです。
その頃、難波江には遊女がたくさんいて、彼女たちの哀れな恋を詠んだのですって！
男女問わず歌合わせ等で、想像だけで歌を詠むことはいくらでもありましたが、
女性の身で、遊女を題材に詠むというのは、
巧い歌だけに、なんだか許せない気持ちになるのは、私が女性だからでしょうか？

遊女をさげすんでいるのではないのですが、彼女たちを哀れむ気持ちは感じられます。
遊女の気持ちの何が、高級女官に分かっているのか？
何というか・・・巧い歌を詠みながら可哀想がっているような、奢りが見えてしまいます。

とは言え、秀作には間違いありません。。。

コメント 11

確かに上手い歌ですよね。想像だけで書いていても、作者のちょっとした奢りが見え隠れするのはまほさんの鋭い指摘ですね。
by mutumin (2013-06-21 04:13) 

ドキドキしてしまいました〜（笑）
お花の名に疎い私です。嬉しかったです。(._.)オジギ
ありがとうございます♪。_(._.)_
by 沈丁花 (2013-06-21 04:32) 

なるほど・・。まほさんの読みは深いですね～。私はまた、弱い立場の女性の生業を当たり前として受ける男性達に放たれた、問題提起の一矢かと思い、この時代の女性にしては中々の慧眼の持ち主と感じてしまいましたが、それではあまりに楽観的過ぎるのでしょうね（笑）　　希望的観測ということで、お許しください<(_ _)>
by ほやへ (2013-06-21 12:45) 

「いくらですか？」という話からではなく
ナンパ上手に１０〜２０分の話で落とされて
後でお金を貰っても彼女には恋　と詠ったのでは？

by パウロ (2013-06-21 19:54) 

熱い気持ちが持てるうちが華かもね。
でも相手によっては鬱陶しいよ。（笑）
↑　身も蓋もないコメント
by 親知らず (2013-06-22 01:22) 

☆　mutuminさん
巧すぎて、心が無い気がしてしまうのです。。。

☆　沈丁花さん
私も、ただ眺めて「綺麗だわぁ」と思っていたのですが、
名前が分かってみると親しみが増すこともあるので、調べるようになりました。
すぐに忘れたりもするのですけどね(笑)

☆　ほやへさん
ほやへさんのおっしゃる方が、正しいのかも知れません。
でも、昔は高貴なお方たちも通い婚で、女性は受け身だったのです。
たまたま歌が詠めて、宮中に上がったところで、
遊女も彼女も、男性側から見るとさほど変わりないと思います。
それを思うと、彼女の歌に優越感が見えるのがなんとも。。。

☆　パウロさん
その頃、どういうシステムだったのか分かりませんが、
パウロさんの解釈だと矛盾があると思います(^^;)

☆　親知らずさん
熱い気持ちかぁ・・・そう言えば遠い昔のことのような気がしますねぇ(笑)
あ、いや、親知らずさんはこれから一花～♪
鬱陶しいような相手では、恋になりませんね(笑)
by まほ (2013-06-22 02:14) 

あこがれだったんじゃない？
by pn (2013-06-22 06:52) 

良い子だから恋バナわかんなーい
by HOTCOOL (2013-06-22 18:08) 

☆　pnさん
あぁ、そういう情熱的な恋に・・・？
そうかも知れませんね。
写真週刊誌など無い時代ですが、意外に口コミがすごく、
何でもすぐ噂になってしまったようですから、
滅多なことは出来なかったとか？(笑)

☆　HOTCOOLさん
はいはい。
さて・・・っと♪(軽く流す(笑))
by まほ (2013-06-23 02:11) 

はい、そうですね。案外、女性の敵は女性、なのかもしれないと思う時がままあります。昔も今も・・。
by ほやへ (2013-06-23 08:49) 

☆　ほやへさん
同性同士って、けっこう見方が厳しいですからねぇ。
でも、嫌な考え方かも知れないと、反省しております。。。
by まほ (2013-06-24 02:29)