悲劇の王子様(きみがためおしからざりし・・・) [百人一首]

いつか、白馬に乗った王子様がやってきて、
薔薇の花束を差し出し、跪いてプロポーズしてくれる~[黒ハート]
今ならば、白いスポーツカーが自分のわきでスーッと止まり、
イケメンが降りてきて「これから茶でもしばかない?」となるでしょうか?(笑)
女の子なら、1度は夢見たことでしょう♪

今日は、そんな夢のような歌を。


「君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな」
DSCF3634.JPG

(あなたに一目会うためなら、捨てても惜しくないと思っていた命ですが、
望みがかなって会うことが出来た今では、
少しでも長くありたいと思うようになってしまいました)
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作者は藤原義孝(ふじわらのよしたか 954-974)
まれに見る美貌の持ち主で、エエとこの坊ちゃんでした。
歌詠みとしても13歳で頭角を現し、数々の歌が残っています。
月夜に歌を吟じながら歩いているさまは、夢のように美しかったと、
「大鏡(おおかがみ)」という昔の書物に、エピソードが残っているぐらいです。
そんな人に、こんな歌をもらってしまったらもぉっ!!!
物語のヒロインそのものの気分ですよね♡


でも、もっと物語みたいなのは、
この、歌の上手い美貌の王子様は、数え21歳で夭折しているのです。

歌を贈られた女性は、どこの誰か分かっていませんが、
「あんなこと言ったくせに、死んでしまったの!」と、どれほど泣いたことでしょう。
夢見心地から、一気に奈落の底に突き落とされたようだったでしょうね。。。

彼の死因は、なんと疱瘡・・・今で言う天然痘でした。
(兄弟同じ日に亡くなったので、母親は嘆き悲しんだと言われています)
顔に疱瘡の痕が点々と残り、
自慢の美貌が台無しになったのを嘆いて自殺したという説もあります。
まぁ、天然痘はあの頃としては重い伝染病ですので、そのまま亡くなったのでしょうが、
たぐいまれな美貌だったために、そのような逸話が生まれたのかも知れません。

いずれにしても、こんな素直な美しい歌を詠んだ人が、
そのまま生きていたら、その後どのような人生を歩み、どのような歌を詠んだのか、
その夭折は、返す返すも惜しいことです。
グラハムトーマス3.JPG
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ルシファー

男も女も短命だと、良い話ししか伝わらないのよね(-。-)y-~
by ルシファー (2012-07-25 04:21) 

pn

↑死人の悪口は言わないだっけかな?そんなことわざあるし。
このころの庶民の21はかなりおっさんだよね(笑)
by pn (2012-07-25 06:32) 

HOTCOOL

天然の方が天然痘を語ってる(笑)
by HOTCOOL (2012-07-25 07:20) 

親知らず

高校の時に私立理系クラスで古文を粗末にしていた私です。(^^;)ゞ
いつも思うのですが、古文にも仮定法とか、完了形とかあるんですよね?
ここは是非まほさんの文法的な解説をお願いしたい。
「ながくもがな」の「もがな」が気になります。
by 親知らず (2012-07-25 08:14) 

パウロ

そうか! 
 バイクじゃだめなんだ〜!
by パウロ (2012-07-25 23:07) 

まほ

☆ ルシファーさん
「美人薄命」などと言われて、伝説になるんですね~(笑)
男性の場合は「美男薄命」?
こんな言葉、聞いたことありませんね。

☆ pnさん
庶民だとおっさんですが、環境が整った貴族だと、
まだまだ若い死でした。。。

☆ HOTCOOLさん
うっ!!!(笑)

☆ 親知らずさん
「もがな」は「~したい」という意味の言葉です。
終助詞ですって(調べました(笑))
私だって、百人一首は丸暗記でしたし、古文は苦手です。
文法的にどうかなんて考えていたら、札を取れません♪(笑)

☆ パウロさん
はい、出来たら白馬の方がムードが出ますね~(笑)
by まほ (2012-07-26 02:25) 

mutumin

美人薄命という言葉があるけど、イケメンも同じなのね!

by mutumin (2012-07-26 08:15) 

ほやへ

「恋」ではなくとも、大切な人がいる人は皆、こういう思いを持っているのではないでしょうか。
by ほやへ (2012-07-26 10:12) 

まお

若くして亡くなられてるのですね
想う人が出来たのに…
心残りだったでしょうね

by まお (2012-07-26 16:46) 

まほ

☆ mutuminさん
イケメン薄命?(笑)
たまたま、記録に残るほどの有名人(歌でも身分でも)だったので、
美貌だったことも伝えられたのでしょうけどね。

☆ ほやへさん
そうですよね。
私も、昔は短命でも良いと思っていましたが、
子どもを持った今は、少しでも長生きして、
子どもの行く末を見たいと思いますから。

☆ まおさん
伝染病であっけなく亡くなってしまったので、その後、
あちこちの知り合いの夢枕に立って、歌を詠んだと伝えられています。
彼女の所にも、行ったのでしょうね。。。
by まほ (2012-07-27 00:46) 

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