お客様 [子育て]

今日は、お客様がありました。
息子の家庭教師だった人で、2年ぶりでした。

息子の携帯に久しぶりにメールがあり、6月には名古屋に赴任するので、
その前に1度遊びに行きたいと言ってくれたので、ご招待しました。

息子が高校を中退した話は、前に記事にしましたが、
彼には強い味方がいました。
中学生の時から来て貰っている、家庭教師のその青年でした。


中学校に入った時、周りに倣って塾に行くかと聞きますと、
息子は、大人数で習うなら学校と同じで、自分は質問をするタイプでも無いし、
塾で友だちを作るタイプでも無い、やるならあちらから来てくれる家庭教師だと言いました。

大手の家庭教師斡旋の会社に頼むと、やって来た大学生は、
非常に大人しくて、挨拶もろくに出来ず、
進展具合にかかわらず、時間きっちりに終わらせて帰って行きました。
数回で約束の日に来なくなり、斡旋会社から電話があり、田舎に帰ってしまったとのこと。
次の大学生も、時間きっちりに挨拶出来ずは一緒でした。

私は、成績を上げるとか下げるとかではなく、
内向的な息子に、もっと外の世界を知らしめたかったので、
家庭教師には、息子にいろいろな話をして欲しかったのです。
他にも少々問題有りでしたし、そこは断って別の組織に依頼しました。


さて、約束の日にやってきた青年をみたとたんに、私は「しまった。。。」と思いました。
彼は、眉毛が半分無く、あご髭を生やし、銀のネックレスをジャラジャラぶら下げ、
ドクロが書いてある黒いTシャツを着て、短く切った髪を立てていましたから(笑)

ところが、口を開くと木訥な東北訛りで、その口調で挨拶はきっちりとして、
息子にもフレンドリーに接してくれ、馬鹿話(!)をして笑わせてくれました。
聞いてみると、某大学の数学科を卒業したのに、
もう一度学びたいと埼玉大学に入り直したところでした。

福島の田舎で、夫婦で学習塾をやっている両親にスパルタで育てられ、
自分はどこに行ってもやっていける自信があると言い切り、本当にそんな雰囲気でした。

以来、息子が大学に入学するまで、週に一回ずつ来て貰いました。
毎回、勉強が終わると、私と娘も加わって1時間も話をしました。
ガードマン、カラオケ屋の呼び込み、コンビニ店員等、バラエティに飛んだアルバイトの話。
麻雀で勝つにも頭の回転が必要だとか、警官に職質されたとかの話。
大学で授業をサボっても、友人が多いので誰かが出席カードに名前を書いて出してくれ、
時には、自分が何人も出席していることになっていた話。
面白おかしく話すので、皆で腹を抱えて笑いました。。。
息子も娘も、それに応じていろいろと話をしているのも収穫でした。


途中、高校が嫌になった息子が不登校になったとき、
最初は言えずに隠していましたが、いよいよ中退すると決めた日に電話で告げました。
電話の向こうで「薄々気付いていました。それじゃ今度は高認に向けて方針を変えます」
と言うのを聞いて、有難くて泣けました。
せっかく名門校に入ったのを喜んでくれていたのに、
相談もせずに中退を決めてしまったのですから、
もう、自分は必要ないと言い出すのではと、親子で勝手に危惧していたのです。

それからまた、高認受験、大学受験と面倒を看てくれ、息子は無事に大学に合格しました。
それで、お世話になった青年とは、別れを告げました。
実に6年間でした・・・。


さて、久しぶりにやってきた彼は、一升瓶を下げていました。
「もう○○(息子の名前)も二十歳過ぎたんだもんな。一緒に飲めるな」と。
「これ、思いがけず『越乃寒梅』が買えたから♪」と嬉しそうでした。

みなで遅くまで談笑して、相変わらずの明るさと逞しさに感服しました。
細菌学を学び、マスターから博士課程も終えて卒業したので、
名古屋の研究所に就職が決まったそうです。
大学の並みいる先生方とコネクションを作り、先輩と後輩、学生と教授を取り持ち、
同じ学部内で自分を知らない人間は居ないと豪語しますが、
それがオーバーに聞こえないようなキャラクターです(笑)
就職を決めた先とも、挨拶に行った時にもう友人を作り、準備万端だそうです。
学会で発表した論文も持ってきて見せてくれました。

日付が変わる頃まで楽しく話して、3年後にはまた関東に帰ってくるから、
その時にはまた顔を出すと約束して帰って行きました。
息子もほろ酔いで、とても嬉しそうでした。

青年を見送って家に入り、テーブルの上の一升瓶をふと見ると、
ラベルには「越乃寒梅寒中梅」と書いてありました(爆)
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mutumin

いい家庭教師と巡り合いましたね。
家もそういう方と巡り合えたら良かったのに・・・
まぁ・・・終わったしまったので、無理ですけど。
巡り合わせというのはこういう事なんでしょうね。
家庭教師って、なかなかこれって、人に巡り合わないんですよ。
若いから、遅く来て、時間に少しでも早く終わりたい風でね・・・
by mutumin (2012-04-16 06:17) 

親知らず

下の子が大学でどうやって友達を作ろうか、という話になった時
自分と同じような格好をしている人が、無難だと言いました。
チャラい子はきっと興味の対象が違って話が合わないのではないかと。
でもこの記事を読ませて頂き、それは違うなと思いました。
人間を外見で判断してはいけないのね。
話せばすぐに分かるにしても、外見で損している人も居るのね。
良い家庭教師で良かったですね。
by 親知らず (2012-04-16 06:37) 

pn

最後のオチがnice!過ぎです(笑)
良いめぐりあいですね、きっと息子さんの人生の師になってますね。
by pn (2012-04-16 06:41) 

HOTCOOL

まさに運命の出会いですね。
けど、これはまほさん息子さん家族が呼び込んだ出会いだと思いますよ。
by HOTCOOL (2012-04-16 07:43) 

miyoko

家庭教師の方うらやましいようなキャラクターです..
by miyoko (2012-04-16 19:05) 

まお

初めての日は、ビックリだったみたいですが
いい方と出会えてよかったですね!
ほんと、人は見かけじゃないですね(^_^)v
by まお (2012-04-16 22:07) 

まほ

☆ mutuminさん
先生の方も、埼玉大学に入って卒業し、
大学院修士課程を終えるまで通ってきていたので、
息子への思い入れも強かったと思います。
その後、無事博士課程も修了し、晴れて○○博士になりました。
カッコは相変わらずでも、やるときゃやる人です(笑)

☆ 親知らずさん
友だちを作る場合は、親知らずさんのお説は正解だと思いますよ。
ただ、人は見かけでは判断出来ないというのも当たっています。
ホント、良い先生で、息子も良かったです。

☆ pnさん
ちゃーんとオチをつけた所が、さすがですよね(笑)
息子も、いろいろと学んだと思います。

☆ HOTCOOLさん
人との出会いって、本当に運ですね。

☆ miyokoさん
なかなか面白い青年です。
半端ではない大きな声ですし。。。(笑)

☆ まおさん
第一印象は「しまった!」でしたから(笑)
でも結果敵には、学業でも人生でも、良い先生です。
by まほ (2012-04-17 02:04) 

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