燃え上がる恋の炎(みかきもり・・・) [百人一首]

燃え上がる炎の美しさは、人の心を捉えます。
それが、平安時代の真っ暗闇を照らす炎だったら、なおのことだったでしょう。


御垣守(みかきもり)衛士(ゑじ)の焚く火の夜は燃えて昼は消えつつものをこそ思へ
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衛士(宮中の門番)の焚く火が、夜は赤々と燃えさかり、昼は消えているように、
私の恋の炎も、夜は激しく燃えあがるのに、
昼は、消え入るようにもの思いに沈み、恋に苦しむのです。
DSCF4110.JPG
御垣守は、宮中の門番で、衛士は諸国から集められた兵士ですので、
どちらも同じ意味で使っています。
つまりは「宮中の門番である兵士が・・・」という感じです。

作者は、大中臣能宣朝臣(おおなかとみのよしのぶあそん 921~991)
三十六歌仙の一人で、伊勢神宮の祭主にもなった人です。
前に取り上げた伊勢大輔(いせのたいふ)さんの祖父です。「いにしへの・・・」はこちら→♡♡♡
宮中で万葉集の研究をしたり、後撰集の選定に当たった和歌の学者たちを、
「梨壺の五人」と呼んだのですが、その一人に選ばれている歌人です。
歌も教養もすごかったということですね。
 

さて、現代と違い、外灯もネオンもない平安時代の夜は、真っ暗闇でした。
まさに「漆黒の闇」だったでしょう。
それほど暗い恐い闇夜に、宮中の門だけは、門番が赤々とかがり火を焚いていました。
その炎は、どれほど人の心に響いたことでしょう。
能宣さんは、実はその炎の幻想的な明るさを歌にしたかっただけなんじゃないでしょうか。
歌詠みで学者の彼は、恋にかこつけて、炎を詠ってみただけでは?(笑)

それよりも、どうもこれは彼の歌じゃないらしい、という説まであるのです。
夜空を焦がして燃えさかる炎を想像してみると、それだけでもう、詩情豊かな歌です。
だったら、誰がこの歌を詠んだのでしょう。
これも、今となっては謎です。。。
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コメント 10

miyoko

暗闇を照らす炎は幻想的で美しいですね・・
by miyoko (2012-09-13 03:22) 

mutumin

ふん~ん・・・闇夜は、勝手に妄想して燃え上がってしまうのかしら?
その分、昼間は落ち込むとか?
身分の高い人に恋をしたのね。。。と勝手に想像してました。
by mutumin (2012-09-13 04:24) 

HOTCOOL

昔もゴーストライターみたいのがいたのでしょうかね?
暗闇の炎幻想的でいいですね^^
by HOTCOOL (2012-09-13 05:02) 

pn

炎って結構神秘的ですよねー。
by pn (2012-09-13 06:37) 

フサヲ

当時の時代があってこその歌だから、
現代に住む私には、要らぬ常識というか基準が邪魔をして、
闇夜の炎を想像しようにも、当時の凄みまでは実感できないです~(。><)!
あぁ、センスが無いです (^ ^;)
by フサヲ (2012-09-13 16:43) 

まお

虫が灯りに寄ってくるみたいに
真っ暗闇の中に炎があったら
惹かれるかも ^^;
その歌、誰のか気になるところですねぇ~ 



by まお (2012-09-13 22:34) 

親知らず

闇夜に燃え盛る炎。それを恋に例えると、詩としてもワンランクアップ?
本当に恋をしているなら昼夜関係無く燃えていると思うので、
やっぱり後付?まぁどっちでも良いけど情景が目に浮かびますね。
by 親知らず (2012-09-14 00:20) 

まほ

☆ miyokoさん
今の数倍、幻想的だったでしょうね!

☆ mutuminさん
むふふ、違うのですよ。
夜は、二人で炎のように燃えるのです。
平安時代は、夜しか恋人と会えなかったのです。
そして、明け方に別れ・・・後朝(きぬぎぬ)→別れた後は、
いろいろ思い悩んでしまうのです。
http://maho061927.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16
後朝については、このとき赤面解説してます(笑)

☆ HOTCOOLさん
ゴーストライターというよりも、
本当に書いたとしても、伝聞を筆でおこす時代でしたから、
時代がズレているとか、こんな歌を詠んだ筈が無いとか、
後世で研究家が言っているだけなのです。
実際のところは、どうなんでしょうねぇ。。。

☆ pnさん
炎とか水とかって、人間が本能で惹かれるモノのような気がしますよね。

☆ フサヲさん
現代っ子に漆黒の闇を想像しろと言っても、無理でしょうね。
センスではなく、経験値の問題ですよ!

☆ まおさん
真っ暗闇の向こうに、赤々と燃えるかがり火・・・少なくともホッとしますね。
誰の歌かというお話は、HOTCOOLさんのコメにも書きましたが、
本当にもう謎です。

☆ 親知らずさん
そう、炎に例えた恋の歌は、ワンランクアップですね(笑)
本当に恋していると、会っていない間は不安になるのです。
夜、激しく燃えて、別れた後は・・・というお話です。
by まほ (2012-09-14 01:07) 

ほやへ

能宣が教養人であったということから、まほさんの「炎の幻想的な明るさを歌にしたかった」というお説に同感です。この時代(今もなおそうかもしれませんが)「恋の歌」が何をおいても中心だったのでしょうからその形は借りたけれど、心中深くでは、きっとまほさんのように感じていたのではないかしら、と私も思いました。

遅くからのコメントで、失礼しました。
by ほやへ (2012-09-20 14:11) 

まほ

☆ ほやへさん
ありがとうございます。
それほど、闇夜を照らす炎は魅力的だったということですね。
後でも、コメントをいただいたのは嬉しいです。
by まほ (2012-09-21 02:05) 

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