憂鬱な歌(ひともをし・・・)

「人もをし人も恨（うら）めしあぢきなく世を思ふ故（ゆゑ）にもの思ふ身は」

(人を愛おしく思ったり、恨めしく思ったりしてしまう。
世の中をつまらないと思うために、もの思いに沈む自分だから)

　

作者は後鳥羽院（ごとばいん　1180～1239）
高倉天皇の第四皇子で名前は尊成（たかひら）です。
源平の戦の後、若干4歳で第82代の天皇になりました。
その翌年、鎌倉幕府が成立しましたので、貴族の世の中が終わりつつある時代です。
19歳で退いて後鳥羽院になりましたが、武士の世の中を憂えて幕府と対立しています。
貴族社会を取り戻そうと「承久の変」を起こし、失敗して隠岐に流されました。
隠岐は今なら風光明媚なリゾート地ですが、彼はそこで寂しく死んでいきました。
「承久の変」歴史で習いましたね・・・よく覚えていませんが(笑)

この歌は、承久の変の9年前に詠まれました。
政治への執着と、武士社会への恨み、そんなこんなを考えていたので、
ブツブツと恨み言を言うような、暗い歌になったのでしょうね。

でもそんな彼も歌には優れ、歌会も頻繁に行い、
藤原定家らに新古今和歌集の編纂を命じています。
隠岐に行っても熱心に歌を詠み「隠岐本新古今和歌集」を編纂しています。
私たちの世へ、文化遺産をたくさん残してくれたのです。
激動の時代を生きた天皇・・・「事実は小説より奇なり」を地でいく生涯でした。

コメント 8

天皇家は時代の変節とともに、まさに激動を行き続けた血族ですね。
by HOTCOOL (2011-12-06 03:58) 

１９歳で退いたのか・・・今の天皇も適当な所で交代できれば負担かからないのになぁ。
ある意味凄い働き者ですよね(^_^;)
by pn (2011-12-06 06:34) 

４歳という何も分からない時に即位し、これからという１９歳で退く。。。
私もｐｎさんと同じで、今の天皇も少し仕事から離れて好きな事をすれば良いのに・・・させてやって！と、思います。
by mutumin (2011-12-06 06:46) 

恥ずかしながらこの年までず～っと、「人もをし」を「人をもし」だと思い込んでいました。
いかに内容を読み込んでいないか。トホホですね。
by ほやへ (2011-12-06 11:38) 

この歌がそんな深いとは知りませんでした
勉強になりました
by PAULO (2011-12-06 11:48) 

今の天皇は、死ぬまで働くからねぇ。
どっちが良いのか？
昨日我が家では、天皇家の話になりました。
食べる物も行く所も周囲が決めて、自由が少ないよねって。
ニコニコ動画見て笑う事もあるのかな？とか
ジャンクフード食べるのかな？とか。
メタボな体型は居ないから、全部管理されて居るんだろうなって。
本当のところはどうなんだろう？
by 親知らず (2011-12-06 13:52) 

後鳥羽院はもっといい歌もありそうなのに、なぜこれなんでしょうね。
院政の時代は皇位を退いてからが自分の天下だから、院になってますます意欲的だったでしょうね。
by palette (2011-12-06 18:37) 

☆　HOTCOOLさん
歴史をずっと見つめることになりますからねぇ。

☆　ｐｎさん
1年で500以上のご公務があるとのことです。
たいへんな仕事ですよねぇ。

☆　mutuminさん
そうですね、定年制を論じられていますね。
体の状態は個人差がありますから、
ご自分が「引退する」と宣言したら出来る制度でも良いですよね。

☆　ほやへさん
それで良いんですよ。
カルタとしては、歌の意味など考えずにただ取りますからね。
そう言えば、中学の時の先生が
「いまはただおもいたへなんとばかりを・・・」を、
「おもいたへなんとばっかりを」と
撥音で読むのか可笑しかった思い出があります。

☆　PAULOさん
いろいろ調べると面白いモノですね♪

☆　親知らずさん
好きな食べ物、スポーツ選手等、決しておっしゃらないそうです。
でも、皇太子はイギリス留学時代、
ある歌手のポスターを貼っていたようです(笑)
だから学生時代は、お酒もジャンクフードも召し上がるみたいです。
多分、ニコニコ動画もご覧になるのでは？
でも、全部が全部自由とはいかないでしょうねぇ。

☆　paletteさん
paletteさんのコメで、今日の記事upする気になりました。
この時代は、鎌倉幕府が成立して、天皇家にとってはつらい時です。
院になって、貴族の間では権勢をふるっても、
立場はあやういモノだったでしょうね。。。
by まほ (2011-12-07 01:54)