書聖 王義之(東京国立博物館平成館) [美術鑑賞]

内覧会に行って来ました。

東京国立博物館 平成館
日中国交正常化40周年特別展 「書聖 王羲之(しょせい おうぎし)」
詳細はこちら → ♡♡♡

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王羲之という人は、書を芸術まで高めた人だそうです。
中国の4世紀に活躍した人ですが、書に関しては伝説みたいな人らしいです。
生きているうちから神格化され、死して後も、
唐の太宗皇帝が彼の書を愛して、蒐集ししまい込み、
最後は、自分のお墓にまで持っていってしまったぐらいです。

当然のことですが、書は紙に書くので、汚れたり虫喰ったり戦乱で燃えたり・・・、
王羲之の書と言われるもので、真蹟はもう一つも無いと言われています。

ただ、石碑の拓本を取ったモノは残っています。
それと、皇帝が精巧な写しを作らせていました。
王羲之の書いた紙の上に別な紙を乗せ、字の形を細い線でなぞり、
筆の一筋一筋、虫食いまで、緻密に再現してあります。
そういった写しの存在のみが、現代に王羲之の字姿を伝えています。


さて、伝説の書・・・書聖と言われた人の字・・・どれほどすごいモノかと思いましたが、
観ていくと「上手いけど、ふつー?」と思います(笑)
現代書家の方がよほど上手いと思いましたが、考えてみればそれが当たり前なのです。
現代書家の先生の先生の、そのまた先生の、何代も前の先生たちは、
王羲之の書を手本に、お勉強を繰り返し伝えてきたからです。

そう考えると、ものすごい人なんだなぁと思うでしょう?


図録の表紙、表と裏
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王羲之の書の中でも、特に秀でているのが「蘭亭序(らんていじょ)」という書です。
王羲之はじめ42人が、蘭亭という場所で緩やかに曲がる川岸の各所に陣取り、
上流からお酒を入れた杯を流します。
自分の所に来た杯を取り、お酒を飲み干し、その間に詩を一つ吟じる。
それが出来なければ、罰として大きな杯のお酒を飲むというゲーム(?)をしました。

王羲之は、このときに吟じられた詩を詩集にして、自ら序文を書きました。
それが「蘭亭序」だということです。

その蘭亭での様子が書かれた「蘭亭図巻ー万歴本ー」
王羲之他の人々が書いています。
右上が、彼の字です。
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(絵はがき)


古文書は、分からないしつまらないと思っている私ですので、
今回の「字」ばかりの展示、実は飽きるかと思っていました。
でも観ていると、唐の4世紀に生きた人が、研究し工夫して確立した書の世界が、
なんとも深いモノに思えてくるのです。


今回の展示のために出品作を探しているとき、
40年ぶりに、王羲之の字姿を伝える新資料が発見されました。
世界初公開の「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」です。
感動ものです!

書にご興味のある方は、3月3日までですのでおいで下さい。
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コメント 15

フサヲ

王羲之は良いですね、ヘンなクセも無く、臨書しやすく、
勉強になる、というのが私の感想です。
高校の授業で、自由課題だったので、
王羲之の「樂毅論」を臨書した、光明皇后の「樂毅論」を臨書して、
軸装して、作品展に出しました。
今回の企画展にも出品されているようですが、
王羲之の「樂毅論」は男性が書いたのに、
女文字のような、柳のような文字であるのに対し、
光明皇后の「樂毅論」は女性が書いたのに、
まるで男性が書いたかのような力強い字体で、
どのあたりがどう臨書なのか、よく分からないのですが、
それでも、女性が書いた、あの力強い字体に憧れて、
一生懸命に臨書したのを今でも覚えています~ (^ ^A)゛
by フサヲ (2013-01-22 03:11) 

HOTCOOL

今で言う、ペン習字の先生ね♪
by HOTCOOL (2013-01-22 05:15) 

mutumin

この前テレビで、少し紹介されていました。
王羲之の書いた紙の上に別な紙を乗せ、字の形を細い線でなぞり、
筆の一筋一筋、虫食いまで、緻密に再現してる。
普通の人が見てもわからないが、赤外線を通すと重ねてなぞっているのがわかんだそうですね。
はぁ・・・赤外線を通したのを見せてくれたテレビで「違いはここよ!」と言われても私には全然わかんなかったです。
そんな作品をまほさんは実際見て来たのね!
素晴らしい!
by mutumin (2013-01-22 05:36) 

pn

普通ってすごいんだよ。
by pn (2013-01-22 06:44) 

親知らず

大人になったら誰で文字が上手くなるもんだと思っていましたが
ますますヘタになるような気がします。
by 親知らず (2013-01-22 07:59) 

亀仙人 孝禎

昨日、TVで紹介されておりました。
祖母が書道の先生をしていたので親しみはあるのですが、自分がやるとなるとどうも距離が離れて行く印象が・・・(爆

by 亀仙人 孝禎 (2013-01-22 08:41) 

ameya

この展覧会はとっても話題になってますね。
見に行きたいなと思ってます!!
by ameya (2013-01-22 10:22) 

uminokodomo

へぇ~!!と読ませていただきました。勉強になります!
たまにはこういう文化・芸術に触れるのも素敵だなぁと思いました♪
by uminokodomo (2013-01-22 11:44) 

miyoko

王羲之いいですね^^
ふつーに上手い字書きたいです♪
by miyoko (2013-01-22 19:42) 

楽しく生きよう

「字は芸術」まさにその通りですね。

応援とお気遣いありがとうございました。
長男に移ることなく今日まで来ております。
次男の外出禁止が解けるまで後2日です。
予防接種していたおかげで、熱はあまり上がらずつらくもなかったようです。
by 楽しく生きよう (2013-01-22 19:58) 

s_29

この展覧会は気になっていました(^v^)
王羲之は馴染み深いですが、まほさんの分かりやすくい
説明にほれぼれします(*^_^*)♪
学生の頃、羲之の喪乱帖の双鉤塡墨の実習がありましたが、
ものすごく細かい作業で、大変でしたよ(^_^;)
しかもたまに、はみ出しちゃったりするし。(←アウト!笑)
複製技術のない時代の人達は大変な努力をしていたんですね☆
ところで、大報帖は24文字だけなんでしょうか?

by s_29 (2013-01-22 20:51) 

まほ

☆ フサヲさん
さすがお詳しいですね~♪
私は、なーんの予備知識も持たずに行ったので、どれもひどく新鮮でした(笑)
おっしゃる通り、癖の無い美しい字で、
ここからいろいろな書法が出来たんだろうなと思うと、すごい人ですね。

☆ HOTCOOLさん
いや、お習字の先生の方かな?(笑)

☆ mutuminさん
ええ、真跡と模写品を並べてありましたが、まったく同じに見えました。
すごい手間暇のかかる仕事でしたよね。
皇帝のいいつけだから、当時の人たちも必死でやったんでしょうね。

☆ pnさん
そうですね・・・普通が一番たいへんです。

☆ 親知らずさん
大人になったら、綺麗な字が書けるようになるって、私も思ってました(爆)
私の場合、下手になるというよりも、上手だった時期がありません(T-T)

☆ 亀仙人 孝禎さん
私は、お習字の時間が、すごぉくイヤでした。。。
手や周りが汚れるだけで、ちっとも綺麗に書けなくて(笑)

☆ ameyaさん
一見の価値はあるとおもいます。
是非、どうぞ♪

☆ uminokodomoさん
お習字嫌いで、古文書にも興味の無い私が、
けっこう面白く観て来ました(笑)

☆ miyokoさん
私なんか、もう遅いですぅ(号泣)

☆ 楽しく生きようさん
次男くん、さほどの症状が無くて良かったですね!
予防接種していれば、型が違って罹っても
重症にならないので良いですね。

☆ s_29さん
そんな実習をなさったのですか!
私には、そんな緻密な作業は無理です(笑)
「たまに」ではなく、どこもかしこもはみ出しそうです(-"-;)
大報帖は、縦70cmぐらいの紙に24文字だけ書かれていました♪
by まほ (2013-01-23 02:10) 

SORI

まほさんのおかげで、この次に東京国立博物館に行ったときは見るものが増えました。
by SORI (2013-01-23 16:49) 

ようこせんせい

まほさんの解説素晴らしいです!!
私も生徒にこれほど説明できません。
王羲之の字を見て「ふつうじゃん!」と感じること自体が、王羲之によって支配されていることを意味しているのだそうですよ。

王羲之の特別展覧会のお誘いありがとうございます。
今回、せっかくお誘いいただいたのに残念です。
いつかそのうちに・・・ご一緒できればと思います。
by ようこせんせい (2013-01-23 19:38) 

まほ

☆ SORIさん
トーハクだけでも、本館、平成館、東洋館がありますので、
見応えがありますね~♪

☆ ようこせんせいさん
解説というほどのモノではありませんけどね(笑)
王羲之の字が、すべての書道の根源だと思うと、すごいです。
私の「ふつー!?」という感想は、ある意味正しいということですね♪(笑)
そうですか、おいでになれると良かったのですが、
遠いんですよねぇ。。。残念です。
by まほ (2013-01-24 01:56) 

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